バックログ3(日本地図の謎の答え~金庫と本の謎)
#ガイド
思考がまとまったようです。
皆さま、準備はよろしいでしょうか?
それでは物語を進めます。
引き続きお楽しみくださいませ。
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一通り思考を巡らせた後、僕はひとまずヒントの文章について調べようとPCに文字を打ち込んでみた。
「歳の数 星の砂 幸せ」
検索してみると、「百合ヶ浜」という海岸が目につく。
まさに「年齢の数だけ星砂を拾えば幸せになれる 」という伝説があるらしい。
そしてヒントの後半「葬式の花の名前を持つ浜辺」という文章。
葬式に使われる花は菊、蘭、そして百合などの白い花らしい。
この文章が表しているのは「鹿児島県 百合ヶ浜」。ここで間違いないだろう。
……そして、「星砂を拾えば幸せになれる海岸」。
それは僕が旅をした(という記憶を持っている)場所にもあった。
まさか……
一旦深みにはまりかけた思考を横に退け、僕は「星砂の海岸」の額縁を「鹿児島県」のピンにかけた。
同様の手順を踏んで、各ヒントの文章を検索し、額縁をかけていく。
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「最も大きな雪のまつり」……北海道、さっぽろ雪まつり。
2020年、雪と光で紡がれる世界の創造物語のショーがあったようだ。
世界の創造……
僕が雪の妖精に教えてもらった「空色の髪の女神が世界を創造した」という伝承が頭によぎる。
空色の髪の女神……空色……もしかして……
僕は額縁に対応する写真を飾り終えた。
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「花畑と風車」……千葉県、佐倉コスモスフェスタ。
「春の花の名前」というのは「佐倉(さくら)市」のことだろう。
一面のコスモスの花畑と大きな風車の写真が印象的だ。
どうやらこの祭典ではコスモスの花を持ち帰ることができたらしい。
僕も、花の妖精からもらった花を持って帰った記憶がある。
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「紅葉と池の絶景」……大分県、九重連山。
似たような景色はいくつかあるが、「九重の山」というからには恐らくここだろう。
この山を登る前には「黄金色の草原」……ススキの原っぱを横目に道を歩くらしい。
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「最も広大な砂丘」……鳥取県、鳥取砂丘。
付近に「砂の美術館」という施設があり、各世界の美しい建造物・造形物を再現した砂像が展示されている。
2019年4月~の「南アジア編」で展示されている、「丸い帽子を被った白く巨大な城」 タージマハル
「整然と区画された2つの丘」 モヘンジョダロ
「長い鼻の神様の像」ガネーシャ……全て見覚えがある。
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「星の伝承を教えてくれる館」……これは最後に調べなければ分からなかっただろう。
一定のリズムで、淀みなくアナウンスされる星の伝承、それが聞ける館……
現実世界にはプラネタリウムというものがある。
最後に余ったピンは大阪府。
「大阪 プラネタリウム」で調べると、大きな2つの川で挟まれた科学館「大阪市立科学館」が出てきた。
地下1階にプラネタリウムがあるようだ。
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……全ての額縁をピンにかけ終わると、再び声が響いた。
#FRプロ
お疲れ様、風街ピリカ。さて、ここで一つ問おう。
ここまで見たことから言える「異世界に関する事実」、君は理解したかな?
#風街ピリカ
僕がいる異世界は……現実世界と同じ……?
#FRプロ
その通り。だがその表現は正確ではない。
風街ピリカ、君がいる異世界は「現実世界を元に作成されたVRワールド」だ。
#風街ピリカ
VRワールド……仮想空間だって……?
#FRプロ
VRワールド作り……自分の理想の世界を作ることができる。
現実世界から逃避したかった私はそれに没頭した。
「空色の女神」……FRプロダクションによる世界創造の始まりだ。
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「理想の世界を作る」。この言葉にふと共感を覚える自分がいた。
僕も音楽や物語を通して自分の理想郷を心の内側に作ってきた。
その点では、僕もこの人も同じということか。
そして……「空色の女神」の正体はFRプロだった。
先ほど頭を過った予感は当たっていた。
#FRプロ
気付いたようだね。
そう、君が「Snowy Genesis Story」で語った記憶は、その事実が元になっている。
いや、その記憶だけではない……
0から記憶を作り出すには膨大な作業が必要で、非常に困難だった。
君の記憶は全て、現実世界で起こったことを元に作ったものだ。
私が異世界風にアレンジを加えてね。
#風街ピリカ
確かにさっき調べた現実世界の情報には、僕の旅の記憶との共通点が多くあった。
そういうことだったのか……
#FRプロ
私は美しい景色が好きだった。旅も好きだった。
自分が過去に見てきた美しい景色を再現した世界を作りたい。
その気持ちに駆り立てられるように私はVRワールドを作り続けた。
だが、現代のVR技術では私の理想とする景色に遠く及ばなかった。
その壁を越えるため、私は全く新しい技術を開発した。
現実世界の物体の名称を指定すると、仮想世界に散らばる膨大なデータを組み合わせ、再構築してコピーを作成できる技術。
それをより直観的に使えるよう改良していった。
その結果、「特殊な文字で物体の名称を書くと、現実世界の物体のコピーを作成できる紙」が完成した。
#風街ピリカ
物体の名称を書くとコピーを作成できる紙……「魔法の紙」……
#FRプロ
その通り、君が持っているアイテムの一つ「魔法の紙」がそれだ。
この技術によって私のVR世界の進化の速度は極限まで高まった。
そこからはもう夢中だったよ。こうして私は全部で6つのワールドを作成した。
かつて私が旅したお気に入りの場所を再現したワールドだ。
それが風街ピリカ、君が旅した世界というわけだ。
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僕がいた異世界は、現実世界を元に作られたコピーだった。
驚くべき事実ではあるが、旅人の性と言うべきだろうか。
僕の興味は既に別の所に向いていた。
#風街ピリカ
……僕が事実を全て知った後、僕はどうなるんだ?
その現実世界に僕が行く技術は本当に存在するのか?
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そう。僕が旅してきた素晴らしい景色の数々。
その元になった場所が存在するというのなら、それを一目見てみたい。
自分の境遇への興味よりも、僕にはその思いが芽生えていた。
#FRプロ
存在するよ。
一通り知った後に、君にはこちらの世界来てもらうつもりだ。
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答えはあっさりと返ってきた。それが本当ならば安心できる材料となるのだが……
#風街ピリカ
……だったらなぜ、現実世界への転送の前にこんな段階を踏むんだ?
僕が事実を知ることで、あなたに何のメリットが……
#FRプロ
そうだな……では次は2つ目の謎「君の正体」について紐解いてもらおう。
風街ピリカとは一体何者なのか?君自身の手で解き明かしてくれ。
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そう言うと彼は喋りを止め、姿を消した……ように感じた。
ふと机の上を見てみると、今度は「金庫」と「本」が置かれていた。
金庫には鍵がかかっている。鍵は5文字のアルファベットを入力するタイプのようだ。
本の方は読んでみると、僕が持っている魔法アイテム「レラ」「魔法の紙」「レセプター」の説明文のようだった。
概ね僕がHPに記載していた情報と同じように見えたが、加えられている記述もある。
僕の記憶と違う部分に注目して読んでおこう。
また、最後のページには金庫の鍵についても書いているようだ。
内容は次の通りだ。
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・魔法の楽器:レラ
旅の中で立ち寄った街の商店で見つけた楽器。
異世界の言語(※1)で「風」という意味の言葉。
ギターのように見えるが、自分の頭に浮かんだ音色を何でも出せる。
ピアノにもなるしギターにもなるしシンセサイザーにもなる。ついでに歌の録音もできる。
音楽に関する作業は大体全部できる。ただし本物の楽器には音色は劣る。
(※1)現実世界の「アイヌ語」をモデルとしている。
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……異世界の言語……だと僕が思っていたものは実はアイヌ語……。
知識としては知っている。確か北海道の民族の言語だ。
先ほどのFRプロの話、「僕がいる世界は現実世界をモデルとしている」
その事実を、改めて突きつけられる。
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・魔法の紙
現実世界の物体を異世界に召喚できる。物体は召喚できるが生き物は召喚できない(※2)。
召喚するためには、独自の文字(異世界文字)で「物体の名前」を書く必要がある。
(※2) 生物も実際はコピー可能。
コピーにより作成された生物の体には、コピー元の物体の正式名称が刻まれている。
この名称は金庫の中にある専用のライトで照らすと浮かび上がる。
転送先に同一の個体が既に存在する場合は、「現実世界の個体」と「異世界の個体」が入れ替わる。
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……「魔法の紙」に関しては知らなかったことが多い。生物も実際はコピー可能……
考えてみれば、こちらの世界には植物や動物が生育していた。自然豊かな環境だ。
それも魔法の紙を使って現実世界からコピーされた存在ということか。
そしてコピー元の物体の名称を浮かび上がらせるライト、それが金庫の中にあるらしい。
金庫を開ければさらに分かることが増えるといったところか。
「転送先に同一の個体が既に存在する場合は、お互いが入れ替わる」
……どこかで見た、「ドッペルゲンガーという自分の分身を見てしまうと死ぬ」という話を思い出す。
他にも、タイムトラベル物のSFで過去の自分と出会うとタイムパラドックスが起きる、なんて話も覚えがある。
そういったバグのようなものを防ぐイメージだろうか。
「現実」と「異世界」の個体を入れ替えることもできる、か……
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・魔力の受信機:レセプター
頭の1つとマフラーの2つ。
異世界には空気中に微量の魔力があってレセプター(※3)はそれを集めてくれる。
これのおかげで魔法道具を使えている。
(※3)青色をした丸い水晶と、紫色の八面体クリスタル。
魔力を発揮している間はキラキラと光る。
異世界と現実世界間の配信を繋ぎ続けるためには、レセプター4つ分以上の魔力が必要。
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「青色をした丸い水晶と、紫色の八面体クリスタル。」
これは見たままだ。
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頭の飾りと、マフラーの首元についているものが青色。
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マフラーの先についているものが紫色。
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僕が持っているレセプターは全部で3つだ。ただ……
「異世界と現実世界間の配信を繋ぎ続けるためには、レセプター4つ分以上の魔力が必要。」
……ここに転送される前、僕は配信を繋いでいられた。
だがその時に光っていたレセプターは、青色の2つだけだったはずだ。
初配信の時は分かる。その時はレセプターが光っていなかった。
だから配信も短時間で途切れた。
だが今回は、少なくとも数十分は繋がっていた。
この説明文は嘘ということか……?それにしては何か違和感が……
……最後のページは金庫に関することだ。
金庫の鍵の在処は「魔力が集まる場所」。
鍵はアルファベット5文字。
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「鍵はアルファベット5文字」……鍵を見れば予想できたことだが、実際当たっていたらしい。
今得られる情報はこんなところだろうか。まずは金庫を開けてみよう。
「魔力が集まる場所を見ろ」……魔力の受信機、レセプターのことを思い出す。
帽子とマフラーから3つのレセプターを外して観察してみる。
じっくり見てみると、数字とアルファベットが見える。
この部屋に転送される前はこんな文字は無かったはずだが……
1:F 2:A 5:E
数字が文字の順番だろうか?
ということは今は「FA??E」……
3文字は見つかったが、金庫の鍵に必要なのは5文字。あと2文字足りない。
他にも「魔力が集まる場所」があるのだろうか……「青色の丸い水晶」……
#ガイド
さて、次の謎にぶつかりました。
「青色の丸い水晶」……どうやらあと2つ、この部屋のどこかにあるようです。
これまでに皆さんはどこかで見かけていないでしょうか?
思いつく場所を探してみましょう。
それでは、思考スタートです(BGMが流れます)。
(残り2つのレセプター……一体どこにあるのだろうか……)