top of page

「​星の妖精がいる草原」

満天の星空の下、大きな2つの川に挟まれた草原。
そこには星の妖精が住んでいて、

訪れた人に星のことを教えてくれるという。​

あの星とあの星を結ぶと綺麗な形になるとか、

あの星の並びにはこんなエピソードがあるとか……

どれだけの年月、星を見続ければこれだけの知識を

蓄えられるのだろう。妖精はまるで物語を朗読するように、

穏やかな口調で話し続ける。

感嘆すべきはその語りの淀みなさだ。ずっと一定のテンポで話し、

一つの星の説明が終わると思えば驚くほどスムーズに

次の星の話題に移り変わっている。

そんな妖精の語りに耳を預けているうちに、

眠気がやってきて目を閉じる。
こうしていると頭に音楽が浮かんで、

いや、聞こえてくる気すらする。

やがて眠気が訪れる。夜空と一体になるような錯覚を

覚えながら、僕はそのまま眠りについた。

目が覚めるといつの間にかその声は止んでいた。
ひとしきり語って満足して去ったのだろうか。
どうやら自由気ままな妖精らしい。

bottom of page